網膜

いつも立っている台所で
コーヒーを淹れて
タバコが吸いたくて
座ってみた
この時間の台所は
立っていると
少し薄暗く
座ってみると
光が射し込んでいた。
あぁ
これが自分の撮りたいものの一つだと
漠然と感じた。
最近、グラフィックのきれいさに
惹かれつつも違和感を感じていた。
写真は目で見たものとは違うと言う
網膜に焼き付くものは
写真ではなく記憶
ならば写真とはなんだろう
撮りたいものだと感じた光は
ただいつもの風景の見方を少し変えただけのもの
ただそれだけのこと
その風景の見え方は
人それぞれ違って当たり前の世界
僕のその世界へのアプローチはそこに一つあった。